事業再構築補助金と組織再編

1.はじめに

2021年5月20日(木)より、事業再構築補助金の第2回の応募が始まりました(第2回の申請の受付は5月26日(水)9時から)。
事業再構築補助金は、一定の範囲の中小企業等が、対象となる事業再構築を行うにあたり、諸々の要件を満たした申請が採択されると交付される補助金となります。
申請に必要となる事業計画は、認定経営革新等支援機関と策定する必要がありますが、事業再構築の中には会社法上の組織再編が利用できる形態もあり、法律の手続きを行うことで選択肢の幅が広がる可能性があります。

2.事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、「新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援する」ものです(事業再構築補助金事務局「令和二年度第三次補正 事業再構築補助金 公募要領(第2回)」令和3年5月 1.2版)。
そして、事業再構築補助金を申請するためには、対象となる「事業再構築」を行う必要があり、具体的には、「新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換又は事業再編のいずれかを行う計画に基づく中小企業等の事業活動」を行うこととされています(中小企業庁「事業再構築指針」令和3年3月29日改訂、以下「指針」といいます)。

※事業再構築補助金の詳細につきましては、下記のサイトをご参照ください。
出典:「事業再構築補助金」(経済産業省ウェブサイト)
   https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html

3.事業再構築補助金における「事業再編」

上記の「事業再構築」の一つの形態として、「事業再編」があります。
もっとも、事業を再編することの全てが上記の「事業再編」や「事業再構築」に当たるわけではなく、法律(会社法)の手続きを踏まえた一定の範囲の活動だけが、ここにいう「事業再編」の対象とされています。
具体的には、事業再構築補助金における「事業再編」とは、「会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うこと」とされています(指針)。
そのため、上記の「組織再編行為等を行うものであること」、「新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うものであること」のいずれにも該当する場合には、事業再構築補助金における「事業再編」に当てはまる可能性があることになります。
一般的に、事業再構築補助金の申請に必要となる事業計画は、認定経営革新等支援機関(一定の場合には認定経営革新等支援機関および金融機関)と策定する必要があります。
それに加えて、会社法などの法律の手続きに従って、合併や会社分割といった会社法上の組織再編行為等を行うことにより、事業再構築補助金における選択肢の幅が広がる可能性があります。

4.組織再編の注意点

会社法上の組織再編、例えば、合併や会社分割を行う場合には、原則として株主総会や債権者保護手続きを行うこととされています。
また、当事者様が許認可を保有されている場合には、合併や会社分割後にその許認可を引き継げるかどうかなどを検討する必要もあります。
これらの手続きの内容により、合併や会社分割を行うために必要となる期間が、大きく異なることもあり得ます。
そのため、事業計画を策定される際には、組織再編の手続きやスケジュールなども併せてご検討いただくことをお勧めします。

当事務所では、合併や会社分割を中心に、各社様のご要望を伺いながら組織再編の手続きを承っております。
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